歯を削らずに白くする

ホワイトニングは、専用の薬剤を使って歯を白くする治療法で、歯を削ることなく自然な白さを取り戻すことができます。コーヒーやお茶、ワインなどの飲食物や、加齢によって黄ばんでしまった歯を、本来の白さよりもさらに明るくすることが可能です。

笑顔に自信が持てるようになり、清潔感のある印象を与えられるため、就職活動や結婚式などの大切なイベントを控えた方や、接客業や営業職の方にも人気の治療となっています。

ホワイトニングの仕組み

ホワイトニングで使用する薬剤には、過酸化水素や過酸化尿素という成分が含まれていて、これらが歯の内部に浸透して色素を分解することで歯が白くなります。歯の表面の汚れを落とすクリーニングとは違い、歯そのものの色を明るくする効果があるため、生まれつき黄色っぽい歯や、加齢で変色した歯も白くすることができるのです。

薬剤が歯のエナメル質を通過して象牙質に達すると、色素を細かく分解して無色化していきますが、この過程で歯の表面構造も一時的に変化するため、一過性の知覚過敏が起こることがあります。ただしこの変化は可逆的なもので、時間が経てば元に戻りますので心配する必要はありません。

ホワイトニングの種類

オフィスホワイトニング

歯科医院で行うホワイトニングで、高濃度の薬剤を使用するため、1回の施術でも白さを実感できることが多いです。歯科医師や歯科衛生士が施術を行いますので、安全性も高く、施術中に何か問題が起きてもすぐに対応できます。

施術では、まず歯茎を保護するためにカバーをかけた後、歯の表面に高濃度のホワイトニング剤を塗布し、特殊な光を当てることで薬剤の効果を高めます。この工程を数回繰り返すことで、1回の来院で歯を白くすることができ、施術時間は通常60〜90分程度です。

すぐに効果が出るという利点がある一方で、高濃度の薬剤を使うため一時的に知覚過敏が出やすいというデメリットもあります。また後戻りがホームホワイトニングより早い傾向があるため、白さを維持するには定期的な施術が必要になってきます。

ホームホワイトニング

自宅で行うホワイトニングで、歯科医院で作製した専用のマウスピースに低濃度の薬剤を入れて、毎日一定時間装着することで歯を白くしていきます。オフィスホワイトニングと比べて薬剤の濃度が低いため、効果が出るまでに2週間程度かかりますが、じっくり時間をかけて白くするため白さが長持ちしやすいという特徴があります。

自分の好きな時間に行えるため、忙しくて頻繁に歯科医院に通えない方にも適していて、マウスピースと薬剤があれば自宅で継続できます。また知覚過敏も出にくく、万が一症状が出ても自分で中断できるため、コントロールしやすいといえます。

ただし毎日決められた時間（通常2時間程度）マウスピースを装着する必要があるため、自己管理が求められる方法です。また効果が出るまでに時間がかかるため、すぐに白くしたい方には向いていません。

ホワイトニングの
メリット・デメリット

ホワイトニングのメリット

1. 歯を削らない セラミック治療やラミネートベニアと違い、歯を削ることなく白くできるため、歯へのダメージがありません。自分の歯を保ったまま見た目を改善できることは、大きな利点といえます。
2. 自然な白さになる ホワイトニングは歯全体を均一に白くするため、マニキュアのような不自然な白さではなく、透明感のある自然な白さになります。周りの歯と調和した仕上がりになるため、違和感がありません。
3. 繰り返し行える 効果は永久的なものではありませんが、後戻りしてきたら再度ホワイトニングを行うことで白さを取り戻せます。特にホームホワイトニングの場合は、マウスピースがあれば薬剤を追加購入するだけで継続できるため、メンテナンスもしやすいです。

ホワイトニングのデメリット

1. 効果に個人差がある 歯の質や変色の原因によって、白くなる度合いには個人差があります。生まれつき黄色っぽい歯は比較的白くなりやすいのですが、グレーがかった変色や、抗生物質（テトラサイクリン）による変色は白くなりにくい傾向があります。
2. 一時的な知覚過敏が起こることがある ホワイトニング中や直後に、冷たいものがしみるという症状が出ることがあります。これは薬剤が歯の内部に浸透する過程で起こる一時的なもので、通常は数日で治まります。症状が強い場合は、知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、施術の間隔を空けたりすることで対応できます。
3. 白さは永久的ではない ホワイトニング後も、食事や飲み物によって徐々に色が戻っていきます。白さを維持するためには、定期的なメンテナンスが必要で、オフィスホワイトニングの場合は数ヶ月から半年程度、ホームホワイトニングの場合は1年程度で後戻りが気になり始めることが多いです。
4. 費用がかかる ホワイトニングは自由診療のため、保険が適用されません。オフィスホワイトニングは1回あたり2〜5万円程度、ホームホワイトニングは3〜5万円程度が一般的な費用です。

ホワイトニングが
できない・適さないケース

1. 虫歯や歯周病がある場合 虫歯や歯周病がある場合は、先にそちらの治療を行う必要があります。虫歯があると薬剤が神経に達して強い痛みが出る可能性があり、歯周病があると歯茎からの出血や腫れが悪化することがあるためです。
2. 妊娠中や授乳中の場合 妊娠中や授乳中の方は、安全性が確立されていないため、ホワイトニングは控えることが推奨されています。また18歳未満の方も、歯の成長が完了していないため、基本的には行いません。
3. 人工の歯（被せ物や詰め物）がある場合 人工の歯（被せ物や詰め物）は、ホワイトニングでは白くなりません。前歯に大きな被せ物がある場合は、ホワイトニング後に被せ物を白い色に作り直す必要が出てくることもあります。

白さを保つための方法

ホワイトニング後は、着色しやすい飲食物を控えることが大切です。特に施術直後24時間は、コーヒー、紅茶、ワイン、カレー、ケチャップなど色の濃いものは避けた方がよいでしょう。この期間は歯が着色しやすい状態になっているため、注意が必要です。

タバコは歯の着色を促進するため、禁煙することが白さを保つ最も効果的な方法です。どうしても喫煙する場合は、本数を減らすよう心がけてください。

定期的な歯科検診を受けて、専門的なクリーニングを行うことも重要です。歯の表面の汚れを定期的に落とすことで、ホワイトニングの効果を長持ちさせることができます。

よくある質問

ホワイトニングで歯が傷むことはありますか？

A.適切に行えば、歯が傷むことはありません。
一時的に知覚過敏が出ることはありますが、これは歯が傷んでいるわけではなく、薬剤の作用による一過性の症状です。歯科医師の指導のもとで正しく行えば、安全に白くすることができます。

どのくらい白くなりますか？

A.個人差がありますが、一般的に元の歯の色から数段階明るくなることが期待できます。
シェードガイド（歯の色見本）で2〜4段階程度白くなることが多いです。ただし生まれつきの歯の色や変色の原因によって、白くなる度合いは異なります。

ホワイトニングの効果はどのくらい持続しますか？

A.生活習慣によって異なりますが、オフィスホワイトニングで3〜6ヶ月程度、ホームホワイトニングで6ヶ月〜1年程度が目安です。
コーヒーやワインをよく飲む方、喫煙される方は後戻りが早い傾向があります。定期的にタッチアップ（追加のホワイトニング）を行うことで、白さを維持できます。

痛みはありますか？

A.ホワイトニング自体に痛みはありませんが、一時的に知覚過敏が起こることがあります。
冷たいものがしみる、風が当たるとしみるといった症状ですが、多くの場合数日で治まります。症状が強い場合は、知覚過敏用の歯磨き粉を使用したり、施術の間隔を調整したりすることで対応できます。

市販のホワイトニング商品との違いは何ですか？

A.市販品は法律上、使用できる薬剤の濃度が非常に低く制限されているため、歯科医院で行うホワイトニングほどの効果は期待できません。
歯の表面の汚れを落とす効果はありますが、歯そのものを白くする効果は限定的です。確実に白くしたい場合は、歯科医院でのホワイトニングをおすすめします。