インプラント

自分の歯のような
噛み心地を取り戻す

自分の歯のような噛み心地を取り戻す

インプラントは、虫歯や歯周病、事故などで歯を失った部分に、人工の歯根を顎の骨に埋め込んで人工の歯を装着する治療法です。入れ歯やブリッジなど他の治療法と比べて、自分の歯に最も近い噛み心地と見た目を実現できることが最大の特徴といえます。

適切なメンテナンスを続けることで、長期間にわたって使用できるため、近年では失った歯を補う治療法として広く選ばれるようになってきました。

当院には口腔外科の認定医が在籍していますので、骨の状態が難しい症例や複数本のインプラント治療にも対応することができ、安心して治療を受けていただけます。

インプラントの構造

インプラントは3つのパーツで構成されています。顎の骨に埋め込む部分が「インプラント体(人工歯根)」、歯の代わりとなる「上部構造(人工歯)」、そしてこれらをつなぐ「アバットメント(支台)」から成り立っています。

インプラント体の材質にはチタンが使用されることが多く、太さは約3〜5mm、長さは6〜16mm程度です。チタンは生体親和性が高い金属で、骨と結合しやすい性質があり、金属アレルギーの心配もほとんどないため、非常に安全性が高い材料といえます。

上部構造にはレジンやセラミックなどが使われ、見た目の美しさと耐久性を兼ね備えています。

インプラントのメリット・デメリット

インプラントのメリット・デメリット

メリット

  1. 自然な噛み心地 インプラントは顎の骨に直接固定されているため、自分の歯と同じように力を入れて噛むことができます。入れ歯の場合は噛む力が天然歯の30〜40%程度まで低下してしまいますが、インプラントでは天然歯の80〜90%程度の力で噛めるため、硬い食べ物も問題なく食べられます。
  2. 周りの歯に負担をかけない ブリッジの場合は失った歯の両隣の歯を削る必要があり、部分入れ歯では金属のバネをかけた歯に負担がかかってしまいます。しかしインプラントは独立して機能するため、健康な歯を削ったり、負担をかけたりする必要がありません。残っている歯を守ることができるのです。
  3. 見た目が自然 インプラントの上部構造には、天然歯に近い色や透明感のあるセラミックを使用できるため、見た目が非常に自然です。特に前歯のインプラントでは、笑ったときにも人工歯だと気づかれることはほとんどありません。部分入れ歯のように金属のバネが見えることもないため、審美性に優れています。
  4. 顎の骨が痩せるのを防ぐ 歯を失ってそのままにしておくと、噛む刺激が伝わらなくなるため、顎の骨が徐々に痩せていってしまいます。インプラントは顎の骨に直接埋め込まれているため、噛む力が骨に伝わり、骨の吸収を防ぐ効果があります。これは入れ歯やブリッジにはない大きな利点です。

デメリット

  1. 外科手術が必要 インプラントを埋め込むためには外科手術が必要になり、麻酔をして歯茎を切開し、骨にドリルで穴を開ける処置を行います。全身疾患がある方や、骨の量が極端に少ない方などは、治療を受けられない場合もあります。
  2. 治療期間が長い インプラント体を埋め込んだ後、骨と結合するまでに上顎で約3ヶ月、下顎で約2ヶ月以上の期間が必要です。この定着期間をしっかり待つことで、長持ちするインプラントになります。治療中は仮歯を装着しますので、日常生活に支障はありませんが、トータルで数ヶ月から半年程度の治療期間がかかります。
  3. 費用が高額 インプラント治療は自由診療となるため、保険が適用されません。当院では1本あたり300,000円〜450,000円の費用がかかり、症例によって異なります。ただし長期的に見れば、入れ歯のように何度も作り直す必要が少なく、周りの歯を守ることもできるため、費用対効果は高いといえます。
  4. 定期的なメンテナンスが必須 インプラントを長く使うためには、定期的な検診とクリーニングが欠かせません。インプラント自体は虫歯にはなりませんが、歯周病と同じような「インプラント周囲炎」という炎症が起こることがあり、これが進行するとインプラントが抜け落ちてしまう可能性があります。

治療法の選択

治療法の選択

インプラント治療には大きく分けて1回法と2回法という2つの方法があります。

1回法

外科手術を1回だけ行う方法で、インプラント体を埋め込んだ後、その上部を歯茎の外に出した状態で骨との結合を待ちます。

手術が1回で済むため体への負担が軽いのが利点ですが、インプラントの上部が外に出ているため、定着するまでの間は感染に注意が必要です。骨の厚みが十分にある方に適しています。

2回法

1回目の手術でインプラント体を埋め込んで歯茎を完全に閉じ、骨との結合を待った後、2回目の手術で歯茎を再び開いてアバットメントを取り付ける方法です。

インプラントを埋め込んだ部分をしっかり縫合するため、定着しやすく、感染のリスクも低いという特徴があります。骨を増やす治療が必要な方など、さまざまな症例に対応できるため、よく行われる方法です。

インプラントが
できない・難しいケース

インプラントができない・難しいケース
  1. 全身疾患がある場合 全身疾患がある方(重度の糖尿病、骨粗鬆症、心臓病など)は、治療のリスクが高くなるため、慎重な判断が必要です。
  2. 喫煙習慣がある場合 喫煙習慣がある方は、血行が悪くなって骨との結合が妨げられるため、治療の成功率が下がります。
  3. 顎の骨の量が不足している場合 顎の骨の量が不足している場合には、骨を増やす処置(骨造成)を先に行う必要があり、治療期間がさらに長くなることがあります。

治療の流れ

治療の流れ
  1. カウンセリングと検査 まずはお口の中の状態を確認し、レントゲンやCT撮影を行って、顎の骨の量や質、神経の位置などを詳しく調べます。治療計画や費用、期間についてしっかりご説明しますので、不安なことは何でもお聞きください。
  2. 1回目の手術 局所麻酔をした後、歯茎を切開して顎の骨にドリルで穴を開け、インプラント体を埋め込みます。手術時間は1本あたり30分〜1時間程度で、痛みは麻酔が効いているため感じません。
  3. 定着期間 インプラント体が骨と結合するまで、上顎で約3ヶ月、下顎で約2ヶ月程度待ちます。この期間中は仮歯を装着しますので、見た目や食事に困ることはありませんが、埋め込んだ部分では硬いものを噛まないよう注意が必要です。
  4. 2回目の手術(2回法の場合) 歯茎を再び開いてアバットメントを取り付けます。この処置は比較的簡単で、短時間で終わります。
  5. 上部構造の装着 歯茎が治った後、型取りをして上部構造(人工歯)を作製し、装着します。噛み合わせを細かく調整して、治療が完了します。
  6. 定期メンテナンス インプラントを長持ちさせるために、3〜6ヶ月に一度の定期検診を受けてください。専門的なクリーニングとチェックを行い、問題があれば早期に対応します。

よくある質問

インプラント治療は痛いですか?
A.手術中は局所麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。
手術後は麻酔が切れた後に痛みや腫れが出ることがありますが、処方された痛み止めを服用することでコントロールできます。多くの方が「思ったより痛くなかった」とおっしゃいますので、過度に心配する必要はありません。
インプラントはどのくらい持ちますか?
A.適切なメンテナンスを行えば、10年以上使用できる確率は90%以上とされています。
中には20年、30年と長期間使い続けている方もいらっしゃいます。ただしこれは定期的なメンテナンスを受けていることが前提で、メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎を起こして短期間でダメになってしまうこともあります。
インプラント治療に年齢制限はありますか?
A.顎の骨の成長が完了していれば治療が可能ですので、一般的には18歳以上であれば受けられます。
高齢の方でも、全身状態が良好であれば問題なく治療できます。実際に70代、80代でインプラント治療を受けられる方も多くいらっしゃいます。
インプラントは金属アレルギーでも大丈夫ですか?
A.インプラント体に使用されるチタンは、金属アレルギーを起こしにくい材料として知られています。
医療用のペースメーカーや人工関節にも使われているほど安全性が高く、金属アレルギーの方でも問題なく使用できることがほとんどです。ただし極めて稀にチタンアレルギーの方もいらっしゃいますので、心配な場合は事前にアレルギー検査を受けることもできます。
インプラントと入れ歯、どちらを選ぶべきですか?
A.それぞれにメリット・デメリットがありますので、お一人おひとりの状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
しっかり噛みたい、見た目を重視したい、周りの歯を守りたいという方にはインプラントが適しています。一方で外科手術を避けたい、費用を抑えたい、全身疾患があるという方には入れ歯が向いています。まずはご相談いただき、それぞれの治療法について詳しくご説明しますので、納得された上で選択していただければと思います。