マウスピース矯正

目立たない矯正治療という選択

目立たない矯正治療という選択

マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使って歯を動かしていく矯正治療で、従来のワイヤーとブラケットを使った矯正とは異なり、装置が目立たないという大きな特徴があります。

社会人や学生の方など、見た目を気にされる方でも安心して矯正治療を受けられるため、近年では大人の矯正治療の選択肢として急速に普及してきました。透明なマウスピースは至近距離で見ても装着していることがほとんどわからないため、接客業や営業職の方、人前で話す機会が多い方にも選ばれています。

マウスピース矯正の仕組み

マウスピース矯正の仕組み

マウスピース矯正では、治療開始時の歯並びから理想的な歯並びまでの過程を細かく分割して、それぞれの段階に合わせた複数のマウスピースを作製します。最初のマウスピースは現在の歯並びにぴったり合っていて、次のマウスピースは少しだけ理想の位置に近づいた形になっています。

1つのマウスピースを約1〜2週間装着すると、歯がそのマウスピースの形に合わせて少しずつ動いていきますので、その後は次のマウスピースに交換していきます。この作業を繰り返すことで、段階的に歯を理想の位置まで移動させていくのです。

治療期間中に使用するマウスピースの枚数は、歯並びの状態によって異なりますが、一般的に20〜50枚程度となることが多く、治療完了までには1年半〜3年程度かかります。

マウスピース矯正の
メリット・デメリット

マウスピース矯正のメリット・デメリット

マウスピース矯正のメリット

  1. 見た目が目立たない 透明なプラスチック製のマウスピースを使用するため、装着していてもほとんど目立ちません。
    ワイヤー矯正のように金属の装置が見えることがないため、矯正していることを周りの人に気づかれにくく、見た目を気にせず治療を進められます。写真を撮るときや大切なイベントのときも、矯正装置が写り込む心配がありません。
  2. 取り外しができる 食事や歯磨きのときには自分で取り外すことができるため、普段通りに食事を楽しめますし、歯磨きもしやすいという利点があります。
    ワイヤー矯正では食べ物が装置に挟まりやすく、清掃も大変ですが、マウスピース矯正ではそのような心配がありません。マウスピース自体も取り外して洗浄できるため、清潔に保つことができます。
  3. 痛みや違和感が少ない マウスピース矯正では、1つのマウスピースで動かす距離が約0.25mmと非常に小さいため、歯にかかる力が弱く、痛みを感じにくいという特徴があります。
    ワイヤー矯正では調整後に数日間痛みが続くことがありますが、マウスピース矯正では新しいマウスピースに交換した直後に多少の締め付け感を感じる程度で、多くの方が1〜2日で慣れてしまいます。また金属のワイヤーやブラケットがないため、口の中を傷つける心配もありません。
  4. 通院回数が少ない ワイヤー矯正では月に1回程度の調整が必要ですが、マウスピース矯正では2〜3ヶ月に一度の通院で済むことが多く、忙しい方にも負担が少ない治療法といえます。マウスピースは自宅で定期的に交換していくため、頻繁に歯科医院に通う必要がないのです。
  5. 金属アレルギーの心配がない マウスピースは医療用プラスチックで作られているため、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。ワイヤー矯正では金属の装置を使うため、金属アレルギーがある方は治療が難しい場合もありますが、マウスピース矯正ではそのような心配がありません。

マウスピース矯正のデメリット

  1. 適応できる症例に制限がある マウスピース矯正は、すべての歯並びに対応できるわけではありません。重度の出っ歯や受け口、歯のねじれが強い場合、抜歯が必要な症例などでは、ワイヤー矯正の方が適していることがあります。
    また骨格的な問題が大きい場合には、マウスピース矯正だけでは十分な治療効果が得られないこともあります。
  2. 自己管理が求められる マウスピース矯正の効果を得るためには、1日20〜22時間以上の装着が必要です。
    食事と歯磨き以外の時間は基本的に装着しておく必要があり、装着時間が短いと計画通りに歯が動かず、治療期間が延びてしまったり、効果が得られなかったりすることがあります。取り外しができるという利点が、逆に自己管理の難しさにつながるため、装着時間をきちんと守れることが治療成功の鍵となります。
  3. 治療期間中の注意点 マウスピースを装着したままでは、基本的に水以外の飲食ができません。
    糖分を含む飲み物やコーヒー、お茶などを飲むときは、マウスピースを外す必要があります。装着したまま飲食すると、マウスピースと歯の間に糖分や色素が入り込んでしまい、虫歯や着色の原因になります。
  4. 費用について マウスピース矯正は自由診療となるため、保険が適用されません。治療範囲や使用するマウスピースのシステムによって異なりますが、全体矯正の場合は70〜100万円程度かかることが一般的です。ワイヤー矯正と比較して、費用面では大きな差はありません。

マウスピース矯正が
向いている人・向いていない人

マウスピース矯正が向いている人・向いていない人

マウスピース矯正が向いている人

歯並びが軽度から中等度の乱れで、前歯のガタガタや隙間、軽度の出っ歯や受け口などの症例に適しています。

また矯正装置が目立つことに抵抗がある方や、人前で話す機会が多い方、接客業や営業職の方には特に向いている治療法です。スポーツをされる方にとっても、口の中を傷つける心配がないため安心です。

自己管理がしっかりできる方であることも重要で、装着時間を守れることや、定期的にマウスピースを交換できる几帳面さがある方に適しています。

マウスピース矯正が向いていない人

重度の歯並びの乱れや、大きく歯を移動させる必要がある症例では、マウスピース矯正だけでは対応が難しい場合があります。また装着時間を守ることが難しい方や、頻繁にマウスピースを外す必要がある仕事をされている方には向いていません。

お子様の場合は、自己管理が難しいため、ある程度の年齢(中学生以上)になってから始めることが推奨されます。

治療の流れ

治療の流れ
  1. カウンセリングと検査 まずは歯並びの状態を確認し、マウスピース矯正が適しているかどうかを診断します。口腔内の写真撮影、レントゲン撮影、歯型のスキャンまたは型取りを行い、詳細な治療計画を立てていきます。
  2. 治療シミュレーション 採取したデータをもとに、3Dシミュレーションを作成します。現在の歯並びから理想的な歯並びまで、歯がどのように動いていくかをコンピューター上で確認できますので、治療後のイメージを事前に把握することができます。
  3. マウスピースの作製 治療計画が確定したら、治療完了までに必要なすべてのマウスピースをまとめて作製します。通常は数週間で完成し、お渡しできる状態になります。
  4. 治療開始 最初のマウスピースを装着し、使用方法や注意点について詳しくご説明します。1つのマウスピースを1〜2週間使用したら、次のマウスピースに自分で交換していきます。
  5. 定期チェック 2〜3ヶ月に一度来院していただき、歯の動きをチェックし、次に使用するマウスピースをお渡しします。計画通りに歯が動いているか、虫歯や歯周病がないかなども確認します。
  6. 保定期間 理想的な歯並びになったら、その位置で歯を安定させるために”リテーナー(保定装置)”を装着します。矯正治療後は歯が元の位置に戻ろうとする性質があるため、リテーナーの装着は非常に重要です。

よくある質問

マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらを選ぶべきですか?
A.歯並びの状態によって適した方法が異なります。
軽度から中等度の歯並びの乱れであればマウスピース矯正が適していますが、重度の症例や抜歯が必要な場合はワイヤー矯正の方が確実です。また見た目を重視するか、治療の確実性を重視するかによっても選択が変わってきます。まずは診断を受けて、ご自身の歯並びにどちらが適しているかを確認することをおすすめします。
マウスピースをつけたまま話せますか?
A.はい、慣れれば問題なく話せます。
装着した直後は少し話しにくさを感じることがありますが、多くの方が数日から1週間程度で慣れます。マウスピースは非常に薄く作られているため、ワイヤー矯正と比べても発音への影響は少ないです。
マウスピースが割れたり壊れたりすることはありますか?
A.正しく使用していれば、めったに壊れることはありません。
ただし熱いお湯で洗ったり、強く噛んだりすると変形や破損の原因になります。もし破損した場合は、すぐに歯科医院に連絡してください。通常は予備のマウスピースがありますので、対応することができます。
マウスピース矯正中に虫歯になったらどうなりますか?
A.マウスピース矯正は取り外しができるため、通常の虫歯治療を受けることができます。
ただし虫歯治療で歯の形が変わると、現在使っているマウスピースが合わなくなることがあり、マウスピースを作り直す必要が出てくる場合もあります。そのため矯正期間中は、普段以上に丁寧な歯磨きとフロスを心がけて、虫歯を予防することが大切です。
マウスピース矯正は痛くないと聞きましたが、本当ですか?
A.完全に痛みがないわけではありませんが、ワイヤー矯正と比べると痛みは少ないです。
新しいマウスピースに交換した直後は、歯が締め付けられるような感覚がありますが、多くの場合1〜2日で慣れてしまいます。ワイヤー矯正のように食事のたびに痛みを感じるということは少なく、日常生活への影響も小さいといえます。