口腔外科

お口周りの外科的な問題に対応

お口周りの外科的な問題に対応

口腔外科は、歯や歯茎だけでなく、顎や唇、舌、頬の内側など、口の中とその周辺の外科的な治療を行う診療科です。

親知らずの抜歯や顎関節症の治療、口の中のケガや粘膜のできものの診断・治療など、幅広い症状に対応します。虫歯や歯周病とは異なる症状でも、口の中や顎に関する問題であれば口腔外科の対象となりますので、異変を感じたら早めに受診することが大切です。

お口周りの症状は、悪化すると食事や会話に支障をきたすだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことがあるため、放置せずに適切な治療を受ける必要があります。

口腔外科で扱う主な症状

口腔外科で扱う主な症状

親知らずの痛みや腫れ

親知らずが横向きや斜めに生えている場合、周囲の歯茎に炎症が起きて痛みや腫れが生じることがよくあります。この状態を「智歯周囲炎」といい、疲れやストレスで免疫力が下がったときに症状が出やすくなります。放置すると炎症が顎の骨や周囲の組織に広がり、顔全体が腫れたり、口が開けにくくなったりすることもあるため、早めの対応が必要です。

繰り返し炎症を起こす親知らずや、隣の歯に悪影響を与えている親知らずは、抜歯を検討する必要があります。口腔外科では、複雑な位置に生えている親知らずや、骨に埋まっている親知らずの抜歯にも対応することができます。

顎や口の中のケガ

転倒や事故、スポーツ中の衝突などで、顎の骨が折れたり、唇や舌、頬の内側が切れたりすることがあります。口の中は出血が多く見えることもあり、パニックになりがちですが、落ち着いて適切な処置を受けることが大切です。

顎の骨折は放置すると噛み合わせがおかしくなったり、顎の変形が残ったりすることがありますので、外科的な処置が必要になります。また口の中の傷は、綺麗に縫合しないと感染を起こしたり、傷跡が残ったりすることがあるため、早めに受診してください。

顎関節症

口を開けるときに顎が痛い、カクカクと音が鳴る、口が大きく開けられないなどの症状がある場合、顎関節症の可能性があります。顎関節症は、顎の関節や筋肉に問題が起きている状態で、歯ぎしりや食いしばり、ストレス、噛み合わせの悪さなどが原因となることが多いです。

軽症であれば生活習慣の改善やマウスピースの使用で改善することもありますが、症状が重い場合には薬物療法や理学療法、場合によっては外科的な治療が必要になることもあります。放置すると症状が悪化して日常生活に支障が出ることもあるため、早めの相談が望ましいです。

口の中のできもの

口の中にしこりや腫れ、白い斑点、赤い斑点などができた場合、さまざまな原因が考えられます。多くは良性のものですが、中には悪性腫瘍や前がん病変のこともあるため、自己判断せずに診察を受けることが重要です。

口内炎であれば1〜2週間で治ることが多いのですが、2週間以上治らないできものや、徐々に大きくなるできもの、痛みのないしこりなどは注意が必要です。早期に発見できれば治療も簡単で済むことが多いため、気になる症状があれば早めに受診してください。

粘液嚢胞

唇や頬の内側を噛んでしまった後に、小さな水ぶくれのようなものができることがあります。これは「粘液嚢胞」といって、唾液腺が傷ついて唾液が溜まってできたものです。自然に治ることもありますが、繰り返しできる場合や大きくなる場合は、小さな手術で取り除く必要があります。

顎骨嚢胞

顎の骨の中に液体の溜まった袋(嚢胞)ができる病気で、通常は痛みがないため、レントゲン撮影で偶然見つかることが多いです。

嚢胞が大きくなると顎の骨を溶かしてしまい、顎が弱くなったり、歯が動いたりすることがあります。治療は嚢胞を摘出する手術が基本となり、放置すると徐々に大きくなるため、発見されたら治療を受けることが推奨されます。

口腔外科の治療方法

口腔外科の治療方法
  1. 抜歯 親知らずや保存が難しい歯の抜歯を行います。通常の抜歯だけでなく、歯茎を切開して骨を削る必要がある難しい抜歯にも対応できます。局所麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。
  2. 外傷の縫合 口の中や唇の傷を丁寧に縫合します。口の中の粘膜は治りが早いため、適切に処置すれば比較的きれいに治ることが多いです。ただし早めの処置が重要ですので、ケガをしたらできるだけ早く受診してください。
  3. 小手術 粘液嚢胞や線維腫などの小さなできものの摘出手術を行います。多くの場合、局所麻酔で日帰り手術が可能で、処置時間も30分〜1時間程度で終わることがほとんどです。
  4. 顎関節症の治療 症状に応じて、生活指導、マウスピース療法、薬物療法、理学療法などを組み合わせて治療します。重症の場合には、関節腔内の洗浄や外科的な処置が必要になることもあります。
  5. 嚢胞の摘出 顎骨嚢胞の摘出手術を行います。嚢胞の大きさや位置によって術式が異なりますが、多くの場合は局所麻酔で対応可能です。大きな嚢胞の場合には、入院が必要になることもあります。

受診が必要な症状

受診が必要な症状

次のような症状がある場合は、早めに口腔外科を受診することをおすすめします。

親知らずが痛い、腫れた場合
親知らずが痛い、腫れた場合は、炎症が広がる前に適切な処置を受ける必要があります。抗菌剤で炎症を抑えてから、必要であれば抜歯を行います。
顎や唇、口の中をケガした場合
顎や唇、口の中をケガした場合は、できるだけ早く受診してください。傷口が開いている場合は、時間が経つと縫合が難しくなることがあります。
口の中にできものがある場合
口の中にできものがある場合、特に2週間以上治らないもの、徐々に大きくなるもの、痛みのないしこりなどは、必ず診察を受けてください。
口が開けにくい、顎から音が鳴る
口が開けにくい、顎から音が鳴る場合は、顎関節症の可能性があります。症状が軽いうちに対処することで、悪化を防ぐことができます。

よくある質問

口腔外科と一般歯科の違いは何ですか?
A.一般歯科は主に虫歯や歯周病の治療を行うのに対して、口腔外科は外科的な処置を専門に扱います。
ただし多くの歯科医院では両方の治療が受けられますので、まずはかかりつけの歯科医院に相談してみてください。難しい症例の場合は、大学病院の口腔外科を紹介されることもあります。
口腔外科の治療は痛いですか?
A.ほとんどの処置は局所麻酔を使用して行いますので、処置中の痛みはほとんどありません。
処置後に痛みが出ることはありますが、痛み止めを処方しますので、それを服用することでコントロールできます。痛みの程度は処置の内容によって異なりますが、多くの場合数日で落ち着きます。
口の中のできものは、がんの可能性もありますか?
A.可能性はありますが、多くは良性のものです。
ただし自己判断は危険ですので、2週間以上治らないできものや、徐々に大きくなるできもの、痛みのないしこりなどがある場合は、必ず診察を受けてください。早期に発見できれば、万が一悪性のものであっても治療の選択肢が広がります。
顎関節症は治りますか?
A.軽度から中等度の顎関節症は、適切な治療を受けることで改善することが多いです。
生活習慣の改善やマウスピース療法で症状が軽減することもよくあります。ただし重症化してしまった場合や、骨の変形が進んでいる場合は、完全に元に戻すことが難しいこともあります。そのため早めに治療を始めることが大切です。
口腔外科の治療は保険が適用されますか?
A.はい、ほとんどの口腔外科治療は保険診療の対象となります。
親知らずの抜歯、外傷の処置、嚢胞の摘出、顎関節症の治療などは、基本的に保険が適用されます。ただし処置の内容や使用する材料によっては、自費診療となる場合もありますので、事前に確認することをおすすめします。